の費用をサヨは何で払いましたか。サヨは自分の身体でしか支払いをしない女です。それとも、あなたにだけはお金で払ったでしょうか」
人見は椅子の肱に両手をかけて、身を起していた。
そして彼はサヨの姿を思いだしていた。サヨは渋皮のむけた女であった。不潔ながらも、変に色ッぽかった。彼女はたしかに彼に支払いをしようとした。云うまでもなく、たしかにその肉体で。彼女はわざと膝をくずして、白い股が見えるように坐っていた。わざと片手を高くあげて後手にまわすと、腋が大きく切れていて、腋の下と腕の附け根と乳房の一部分が見えた。サヨは変な笑い方をして、彼にナガシ目を送った。
彼はその支払いをうけとらなかった。そして、たしかに金も肉体もうけとらなかった筈であるが、それは筈であったというだけのことで、そのサヨの姿はいつまでも彼の脳裡にからみついて生きていた。
いまそれを思いだすと、それは妖しいほど生きていたのだ。まるで彼はその支払いをキレイにうけているような気がした。
そして、そのサヨの姿が益々鮮やかに目にしみてきたとき、彼は椅子の肱にかけた両腕に力をこめて身を浮かそうとして、急に目マイがした。
人見は
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