日本人に就て
――中島健蔵氏へ質問――
坂口安吾
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)吃驚《びっくり》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)さび[#「さび」に傍点]
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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健蔵兄、作品社から「中島健蔵氏へ質問」といふものを書けといふことで、文学には多々疑惑のみ溢れがちな日常ではあり渡りに舟と引受けたのですが、さて引受けてみて吃驚《びっくり》しました。なるほど疑問は次から次へとあるやうですが、さてそれを謙虚な質問といふ形に表はしてみやうとすると、これが非常にむづかしいのです。自分では疑問のつもりでゐるものが、質問の形に表はしてみやうとすると、いつのまにやらチャンと疑問に解答を与へてゐる不思議な自分に気付くのです。つまり僕の文学上の疑惑は常に「自問自答」といふ形にすつかり馴らされてゐて、唐突に心構えを変へてみたところで十日や廿日のことでは本
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