蒼茫夢
坂口安吾
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)瞶《みつ》めて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)バタ/\
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://www.aozora.gr.jp/accent_separation.html
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[#7字下げ]一[#「一」は中見出し]
冬の明方のことだつた。夜はまだ明けない。然し夜明けが近づかうとしてゐるのだ。夜の不気味な妖しさが衰へて、巨大な虚しい悲しさが闇の全てに漲りはじめてゐる。草吉はそのとき自然に目を覚した。
室内も窓の彼方も一色の深い暗闇ではあつたが、重量の加はりはじめた寒気と、胸苦しい悲しみの気配によつて、もはや夜明けに近いことを推定することができた。四時半前後であらうと思つた。
草吉の日毎の
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