の方が損をしてゐる酒なので自慢にならない。
 酒飲みは味のためにはわりかた値段に淡白である。東京へ持ちだして一円七十銭の安値で特売店をひらいても、味が悪くては話にならない。かへつて名前を落とすだけだ。一円七十銭なら東京でものめる酒はあるのである。新潟の酒をのむなら新潟へおいでといふのでは困る。高くても飛切上等の一等品を特売店へ持ちだすがよからう。



底本:「坂口安吾全集 02」筑摩書房
   1999(平成11)年4月20日初版第1刷発行
底本の親本:「新潟新聞 第一九九八二号〈夕刊〉」
   1936(昭和11)年12月11日付(10日発行)
初出:「新潟新聞 第一九九八二号〈夕刊〉」
   1936(昭和11)年12月11日付(10日発行)
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:今井忠夫
2005年12月10日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランテ
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