り、安易について、蒙昧にとゞまることでしかないのである。その無能無策と、反文化的性格は、第一級の罪悪と云わねばならぬ。そして、禁止のもつ安易さは、反文化的性格と共に、専政的なものであり、同時に、軍人の、又、ファッショの性格でもあるのである。
かゝる専政的禁止の性格は、又、共産主義が持っている。政争の手段として闘争を看板にする共産主義は元々が軍人的好戦思想と、専政をタテマエにしているのであるが、彼らが現に弾圧されつゝあるにも拘らず、然し、彼らほど、やがて人を弾圧する性向を潜めているものはない。個人の自由や、人間性を尊重する慎しみ深さは、その根柢に失われているのである。
元来、共産主義の如くに、理想を知って、現実を知らず、その自らの反現実性に批判精神の欠如せるものは、専政、ファッショの徒に外ならぬのである。
敗戦、この無数の焼跡、これが直ちに復旧すべきものでないのは当然で、たとえ戦争に勝ったところで、復旧に年月を要することは明かだ。誰がやっても、この復旧、建設は、困難きわまる一大難事業である。かゝる非常の際の政策的なストの如きは最も慎むべきところ、フランスでは、共産政府がストを弾圧し
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