、工夫と努力によって簡便安易な法を見出すのではなく、無策の故に、又、努力と工夫がいらないために、安易簡便を利するのは、悪事である。無策とは、無責任ということで、その責任に堪えざることであり、無策の徒が、責任ある地位をけがすことは、罪悪である。
無策の故に、天皇制を利することは、あまりにも無責任、無智、無謀と云わねばならぬ。
これと同様の無策無謀のアラワレが、各種の弾圧、禁止である。エロ・グロの禁止、弾圧。禁止ぐらい、安易簡便な法はない。そして、禁止というものには、工夫と努力がミジンも必要とされず、禁止から、進歩発展が生れるということは、有り得ない。
軍人たちは、戦争中、弾圧、禁止を乱用したものだが、目に一丁字なき軍人がこれを行うのは、ともかく、文化国家と自称するものが、禁止の安易につくとは言語道断と云わねばならぬ。
エロ・グロを、芸術に高めるための、努力と工夫が大切なのである。さすれば裸レビュウの如きは、自然に場末の片隅へもぐりこまざるを得なくなるのだ。すべてが、禁止と反対の積極的な努力と工夫でなければならぬ。進歩向上というものは、そこからでなければ生れ得ず、禁止の法を用いる限
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