せんからネ」とか、「貴女を護衛するナイトはもう一人ある筈だから――」なぞ言ふのであつた。すると彼女は、どんなにも努力を費して、しかし余りに激しすぎた憎悪のために、結局遂に何も言ふことが出来なかつたり、或ひは又、辛うじて、「無意味なことを仰有《おっしゃ》いますな」と呟くのであつた、其の言葉に胸を突かれる私は、突嗟に激しい自卑を覚え――しかし自卑を、自卑として感じる前に忽ち其れを怒りに変へて、わけもなく逆上してしまひ、全く混乱して、
「私はもう直き死ぬのだ……」
「来年の此の季節は、もう決して二度と見られない私なのだ……」
「死んで行く人間の気持が、貴女なぞに分つて堪るものでない……」
そして私は――
斯様な言葉を殆んど噴出する火かのやうに吐き出す時に、怒りと嘆きと――それは全く際涯もない永遠のものを対象にして、私は、もし涙が迸しらなければ、この細長い身体自身を迸しるやうに、まつしぐらに駈け出させたい激情に襲はれずにはゐられなかつた。
私の逆上した混乱に、当然同化し得べくもない此の婦人は、白けた気持に押し流されて、結局私を医院の門前へまで送るやうなことになつた。そして彼女は、茫然とし
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