が耳である。爆音。見事命中した。すると、より深い沈黙のみが暫く彼等を支配する。言葉も表情もないさうである。
あなた方も亦、そのやうであつたと僕は思ふ。爆発の轟音が湾内にとゞろき、灼熱の鉄片が空中高く飛散した。然し、須臾にして火焔消滅、すでに敵艦の姿は水中に没してゐる。あなた方は、ただ、無言。然し、それも長くはない。
真珠湾内にひそんでゐた長い一日。遠足がどうやら終つた。愈々あなた方は遠足から帰るのである。死へ向つて帰るのだ。思ひ残すことはない。あなた方にとつては、本当に、ただ遠足の帰りであつた。
十二月八日に、覚悟してゐた空襲はなかつた。
三月四日の夜になつて、警戒警報が発令された。その時もその前日の同人会から飲み始めて、僕はいくらか酔つてゐた。大井広介、三雲祥之助の三人で浅草を歩き、金龍館へ這入らうかなどゝその入口で相談してゐるところであつた。浅草の灯が消え、切符売場の窓口からも光が消えた。ぶら/\歩きだすと、飛行機の音がきこえる。敵機かね? 立止つて空を仰いだ。すると街角にでゝ話してゐた三人のコックらしい人達が振向いて
「いや、あれはうちのモーターの音ですよ。あいつ、止め
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