、もはや、わからない……
大納言は、てのひらに水をすくい、がつがつと、それを一気に飲もうとして、顔をよせた。と、彼のからだは、わがてのひらの水の中へ、頭を先にするりとばかりすべりこみ、そこに溢《あふ》れるただ一掬《いっきく》の水となり、せせらぎへ、ばちゃりと落ちて、流れてしまった。
底本:「坂口安吾全集3」ちくま文庫、筑摩書房
1990(平成2)年2月27日第1刷発行
1991(平成3)年5月20日第3刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:花菱蓮
校正:小林繁雄
2008年11月16日作成
青空文庫作成ファイル:
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