平はなれなれしい。将棋盤をもってくる。ところが、飛車と角の位置をアベコベに並べている。
「ハハハ。アベコベか。むつかしいもんだね」
コマを並べるのをむつかしがっている。たちまちバタバタ負けて、
「ハハ。石川さんは強いねえ」
長範親分、小学生を相手に遊んでいるのか、遊ばれているのか分らない気持で、手のつけようがない。
そこへ料理が現れる。第一がシャモの丸焼き。腹の中へシイタケ、ミツバ、ギンナンその他サザエのツボヤキのようにねじこんで炙《あぶ》ったもの。
その次が子豚の丸焼き。これには長範親分も驚きました。その次が尚いけない。ブリの丸アゲ。どんな大きなフライパンで揚げたのか知れないが、三尺ちかい大ブリを、支那料理の鯉のようにまるまる揚げ物にして、女の子が二人がかりで皿をはこんできた。
「ここの料理はマル焼き専門かね」
と長範がひやかすと、
「ハハハ。料理人がコマ切りにして配給するんじゃ食べるのが面白くないねえ。本来の姿を目で見てさ。その雄大なところを楽しんで、自分の手で切りとって食べなきゃ、つまんないよ。頭と骨とシッポが残ってくるでしょう。ここが、いゝところだね。はじめから小皿に
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