や。凄味のアンチャンがニコヤカに全然喋らねえんだから、薄気味悪いったら、ねえんだもの。寝ションベンじいさんだの材木なんか元々ボクに関係のないことだから、箱根へ戻るのは、もうイヤですよ。行くもんじゃねえや」
 天草次郎は両の手に頭をのせ、イスにもたれて考えていたが、織田光秀に向って、
「キミは材木、いくらで買う」
「マア、三十万ですね」
 天草次郎は大儀そうに苦笑して、
「オレは、タダだ。サルトル氏をつれてこい」
 と雲隠才蔵に命じた。
 サルトルが現れる。天草次郎、織田光秀、白河半平の三羽ガラスを才蔵が紹介する。
「ボクたちは毎月一回東京をはなれて食焔会《しょくえんかい》というものをやってるが、大いに食い、気焔をあげる会だね。疲れが直るな、明日の晩、小田原でやろうじゃないか。明日の夕方、底倉へ電話でお伝えするが、石川さんに差しつかえなかったら、遊びにでむいていたゞきたい」
「ヘエ」
 サルトルは無口であるからニコヤカに笑みを浮べて、あとは相手の言葉を待っている。天草次郎ときては、必要以上は喋ったことがないし、つくり笑いもしたことがない。クルリとデスクに向って、書類をとりあげて仕事をはじ
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