べそをかく。たゞもう夢中に祈るほかには手がなかった。
 一方、こちらは取り残された半平一行。
「えゝ、白衣の御方」
 ペコンと頭を下げたのは坊介である。
「すみませんが、便所へひとつ、行かして下さいな。俗界の人間は、これだから、いけねえや」
 坊介は便所の中から、つぶさに建物を観察する。大きすぎて、とても全貌はわからないが、台所では神様の昼食で人々が立ち働いている様子だから、裏を廻ると見つかってしまう。木立の繁みに隠れて、庭を廻る一手あるのみである。
 坊介は戻ってきて、
「どうも、いけねえ。フツカヨイに、下痢をやッちゃったい。腹がキリキリ痛んで、いけねえ」
「薬、あるかい」
「ま、待ってくれ。ちょッと、寝かしてくれよ。ムム、痛え。ウーム。盲腸じゃねえかな。ムムム」
「こりゃ大変なことになりやがったね。あんまり、のむから、いけないよ。アレ、エビみたいに曲っちゃッてピクピクやってるよ。才蔵クン。キミ、抑えてやんないか。ノブちゃん、さすッておやり」
「やい、しッかりしろい。コン畜生」
 才蔵が後へまわって、武者ぶりつく。ムムムとひッくりかえる。ひッくりかえす。ドタンバタンとレスリングの試合
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