りは目玉を白黒、腰をうかすところを、いきなり横にねじ倒して、
「コウーラッ。コウーラッ」
 ドシン/\とふんづける。すさまじいの、なんの。ム、ム、ム。さすがの大納言も、魚のようにアップ/\している。
 大納言がふんづけられると、合唱が起った。そして、白衣の人達は、手を高々とすり合わせて、マニ妙光を唱えながら、ふんづけられる大納言の廻りをグルグルと廻って歩きはじめた。白衣の女のある者は、鈴をふり、横笛をふいて、その外廻りを歩いた。合唱に合わせて太鼓がなった。
「ウウム」
 大納言は唸っているようである。地獄から脱出しかけているのかも知れない。あれほど平和な大納言でもダメなのである。
「不浄であるぞウ。不浄であるぞウ」
 神の怒りの叫びが雷のように鳴りとゞろく。そして、踏みにじる音がする。大納言は浄められているのであろう。
「オレもダメか」
 と正宗菊松はゾク/\と寒気が走った。大納言の霊だけが地獄へおちていたのかと安心したのは早計であった。彼がこゝへ連れこまれたのは、浄められるためであったのである。してみれば、順番にやられるのであろう。
「アア、マニ妙光。マニ妙光」
 雑念が起ると、泣き
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