た。半平や坊介たちに救いをもとめたかったのだ。それも、かなわぬ、と知ると、覚悟をきめた。というのは、つまり諦めたということである。真正面の大納言の平和な坐り方をまねて目をとじたのである。どっちの方角からも、白衣のマムシの鋭い目が自分を狙っていると思ったからである。
「キサマの霊はくもっているぞウ」
祭壇の下の人物が怖しい叫びを発した。
「アッ」
正宗菊松は、ヤラレタカとすくんだが、ドサリと蹴られる音がしたのは、だいぶ離れたところである。
「コウーラッ」
誰かゞ引きずりだされている。薄目をあけてみると、大納言である。大納言は河馬《かば》のようにふとっているから、白衣の男が二人がかりで襟クビをつかんでひきずっても、思うように動かない。チャンと坐って、キチンと膝の上に両手をおいて、平和な顔をちょッとシカメて、仏像が引越すようにユラリ/\とひきずりだされていた。
祭壇の下の神様の代理が、たまりかねたか、躍りかかって、白衣の男の手をわけて、
「キサマの霊は地獄へおちているぞウ」
なんたる乱暴だ。いきなり大納言のふとったクビを両手でしめあげて、アウ、アウ、アウ、さすがの大納言もこの時ばか
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