三人命の瀬戸際だから」
「百万円でいいのか」
「チェッ。大きなこと、言ってやがら。いくら命の瀬戸際だって、商魂を忘れちゃ実業家じゃないよ。息をひきとる瞬間まで値切ることを忘れないのが商人魂というものだよ。ダテにハゲ頭光らせて、みッともないッたら、ありゃしねえ。大至急、百万円、つくってくれよ」
才蔵に叱りとばされて、ハゲ頭の連中、返す言葉もない。才蔵ごときチンピラでも、かくの如し。社長の見幕や、いかに、と思えば、生きた心持もない。
一同ソレと手分けして金策に走る。左り前の天草商事に、オイソレと百万の都合はつかない。自分の貯金から融通したのも何人かいる。社長の見幕が目に見えるから、忠勤、必死である。
「アア。できたか。ヤレ、ヤレ。ありがたい」
一同ハゲ頭の汗をふいて、ホッと一安心。
「百万円といえば一荷物だが、これをリュックにつめて行くかね」
「バカ云っちゃ、いけないよ。かつぎ屋じゃあるまいし。紳士の体面にかかわらア。トランクにつめてくれよ。一個じゃ重いから、二個にしてくれ」
才蔵の鼻息の荒いこと。ハゲ頭の連中をふるえあがらせ、二個のトランクをぶらさげて、やつれながらも、鼻息荒く姿
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