かるべからずさ。ツルちゃんの高潔なる人格と聡明なる才腕を信用してあげることが必要ですよ。では、ツルちゃん、良き旅行を祈ります。明日、午後二時には、ボクが小田原へ迎えに行きますからね」
 こう、はげまされ、握手を交して送りだされる。
 ツル子はバカバカしいばかりである。なんの不安もないからだ。箱根へ行って、サルトルに会えるほど安心なことはなかった。

   その十四 サルトル改心のこと

 ツル子の報告をきいて、サルトルは大笑い。
「アッハッハ。そんなことだろうと思って、もう、イタズラしておきました」
「なにを、なさったの」
「明日、お歴々、あそこを掘ると、アッと驚きます。慾深い人が穴を掘って、よかったタメシはありません。どうしても、私のところへ、智恵を借用に来なければならなくなります」
 ツル子はジッと考えた。もう、これ以上、我慢ができない。変に策を弄するよりも、体当り、サルトルのマゴコロに訴えるにかぎるのだ。さもなければ、悲しい思いの絶え間がない。
「サルトルさん。もう、悪事は、よして」
「エッ。悪事?」
「ええ、悪事よ。今、なさっていること、悪事よ。人をだまして、お金をもうけては、
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