に、サルトルの部屋へ起しに行って、朝の散歩に誘うんだね。一時間ほど、ブラついて、ゴハンをたべて、それからズッと、つききっていることが大切なんだ。わかったね」
才蔵も二人のあとを追ってきて、きいていたが、
「八時か九時まで、ひきとめとくだけでタクサンだよ。あんな遠い山林の奥まで、夜中に行く奴、居やしねえや。埋めかえるなら、今日の昼のうちに、早いとこ、やってらア。ツルちゃん、タチバナ屋へ泊らずに、ほかへ宿をとりな。明暗荘がいゝや」
「サルトルさんは、紳士よ」
ムカムカして、冷めたく、あびせる。
半平は高笑い。
「アッハッハ。さては、雲さんや。ツルちゃんを口説いたね。いけないよ。ねえ。重大なる社用に際して、軽挙盲動は、つつしまなきゃアね。サルトル氏を見習えよ」
「バカ云うんじゃないや。ツルちゃんは、知らないのさ。サルトルは、ただの鼠じゃないぜ。阿片はホンモノだったけど、信用できる男じゃないんだ」
阿片はマッカなニセモノ。サルトルの悪略、荒仕事、教えてやりたいのは山々だが、それが言えない、つらさ。才蔵、切歯ヤクワン。
「まア、まア、雲さんや。よしたまえ。キミの卑しき心情をもって、人をは
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