検分はツル子をあざむいて阿片の実存を信じさせるのが目的だと思っている。
 サルトルはそッと才蔵にささやいて、
「雲さんや。たのむぜ。石油カンに黒いものをつめて埋めておいたから、いかにも阿片だというオドロキを表情たっぷり演技してもらいたいネ。ツル子さんは、なかなか観察が鋭くていらッしゃるから、油断はくれぐれも禁物」
 あくまで、こう、だましておく。一方、ツル子にも注意を与えて、
「雲さんの眼力は油断ができませんから、あくまでスパイになりすまして、見破られないように、たのみますよ」
 手筈をととのえておいて、三人は密林の奥へふみこむ。
「ここ、ほれ。ワン、ワン」
 こう呟きながらサルトルが地を掘ると、石油カンが現れた。
「さて、雲さんや。雲隠大人《エンインダーレン》の眼力をもって、よッく、ごらん。これなる物質は何物なりや。そのものズバリ。いかが」
「ウーム」
 才蔵はビックリ仰天。一と唸り。
 少量をつまんで匂いをかいでみる。カンの中を掘ってみて、その内容の底までギンミして、
「ヤヤ。実に」
 フウと大息。呆れはててサルトルの顔を見つめて、
「みんなホンモノの阿片じゃないか。エ、オイ、おど
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