訳ございません」
 神様は案外素直に俗界の話がわかったと見える。両手で格子をつかんで、
「オイ。オレを天草商事へつれて行け。早くせえ」
「ハッ。たゞ今すぐにはできませんが、追々、そのように、とりはからいます」
「早く、せえ! コラ!」
「ハ」
 コワかなわじ、と、サルトルは匆々にひきさがった。長くぶらついていて魂をぬかれては大変である。
 しかしサルトルはほくそえんだ。
 正宗菊松が神通力を得たとは面白い。催眠術というものは、かかる人と、かからない人とあるそうだが、石川長範もマニ教の信者であるから、これも魂をぬかれる口かも知れない。さすれば悪玉かならずしも神通力に防禦力があるわけではない。別して天草商事には恨みをむすんでいる様子であるから、その一念、天草の三羽烏を金縛りにするかも知れない。
 敵に機関銃あれば、我に正宗菊松を用いて魂をぬく手あり。サルトルはニヤリとした。

   その十三 サルトルやや成功のこと

 翌朝三名は密林の奥の阿片をうめた現場を実地検分にでかけた。
 雲隠才蔵はサルトルとツル子が盟約を結んだ同志とは知らない。ツル子は天草商事のスパイだと思いこんでいるから、実地
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