いぞ」
「一目見せていたゞかなければ、社長に報告ができません。又、天草商事から身代金をととのえて迎えに来ました折に、みんな魂をぬかれたとなっては由々しい大事で、箱根の山が降りられません。ぜひとも対面を許していただきたく存じます」
そこで対面を許され、白衣の若者に案内されて、でかける。
女中部屋の突き当りにある物置のようなところを改造して、入口に厳重な格子が組まれている。窓にも格子が組まれて、どこからも出入ができない。食器や便器の出し入れができる程度の隙間があるだけである。案内の白衣の男を認めると、格子際へ走り寄った正宗菊松。
「コウーラッ!」
格子から片腕をニュウとだして、虚空をつかんで、ひきよせる様子をする。
すると白衣の男がタハハとその場へ腰をぬかして、平伏、頭上で手をすり合せて、
「マニ妙光、マニ妙光」
おそれおののいて、祈りはじめた。
「コウーラッ!」
正宗菊松の眼はランランとかゞやき、髪はみだれ、神の怒りが乗りうつったように、はげしくジダンダふむ。
すると白衣の男が、
「ヒッ、ヒッ、ヒッ」
と呻きをたてゝ、足をバタバタふり、七転八倒、廊下をころがって、泣きだし
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