「ミイラとりがミイラになるなよ。キサマの相には、女に甘いところがある。見るに堪えないところがあるぞ」
「ハハッ。相すみません。充分自戒しておりますから、御安心のほどを」
 そこで石川長範は愛妾とゴリラをつれて帰京してしまった。
 サルトルはツル子への約束、正宗菊松を助けてやりたいと思うから、マニ教の神殿へ偵察におもむいた。
 石川組の社長の片腕であるから、神様も粗略には扱わない。内務大臣が自室へ招じ入れて、
「ナニ、正宗のことについて、話があるとな」
「ハッ。実は社長に後事を託されまして、命によって伺いましたが、天草商事も左前の様子で、身代金がととのわず、社長も間に立って困却しております」
「イヤ、それはイカン。身代金というものは神示によって告げられたもので、神の御心である。神の御心であるから、俗界と違って、ビタ一文、まけるわけには参らぬ。左様な不敬は相成らぬぞ」
「それはもう重々心得ておりますが、俗に無い袖はふれぬ、と申しまして、神界と俗界の結びつきは、まことに、むつかしゅうございますな」
「しかし正宗には当方も困却しているぞ。匆々に身代金をたずさえて引きとってくれなければ、当方
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