ということは、まったく偶然相手である。競輪以上のバクチである。男に当ればいいけれども、外れれば、それまでだ。日本の女には、そのアトがない。外れれば、一生が外れたことになるのである。不幸に忍従し、それが日本の自然であり、同情もしてくれないし、ほめてもくれない。そして、男に当るか当らないか、ということは、親がしらべたぐらいで分るものではないのである。サラブレッドと同じように、血統や教育の道程などを調べたあげく、外れればそれまで。復を買うわけにもいかないし、二度目三度目の勝負でとりかえすわけにもいかない。
しかし、記代子の場合には、とにかく、男に愛される資格はある、ということを頼む以外に仕方がなかろうと青木は思った。どんな男が彼女を愛してくれるだろうか。時間的に彼女を愛す男は少くなくとも、彼女の一生を、ともかく大過なく安泰にすごさせてくれる男が多くあろうとは思われなかった。なぜなら、彼女は可憐さを失いながら、それに相応する知性を得ていないからである。むしろ愚を得ているからである。
京都へつくと、記代子は疲れきっていたので、はやくねた。青木と長平はおそくまで酒をくみ交したが、長平は相変らず
前へ
次へ
全397ページ中371ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング