で、
「じゃア、お気をつけて。大庭先生によろしくね」
こうして二人は京都へたった。
「ねえ、記代子さん。彼女は敬服すべき手腕家だよ。しかし、金のかかる手腕だなア」
記代子もつりこまれてニッコリして、
「ほんとね。私のようなチンピラにまでこんなことして、叔父様なんかにはどんなプレゼントするのかしら」
「ナニ、長平さんにはお金いらずのプレゼントがあるのさ」
と青木が皮肉ると、
「ヤキモチヤキね」
横目で睨んだ。記代子のキゲンは直っていた。
九
青木は半日の汽車旅行で、女の一生ということを変にシミジミと考えさせられた。子供をもたない彼は、そういうことを身にしみて考えたことがなかったのである。
記代子の多難な経験は、彼女に多少の悪変化を与えたが、三文の得にもならなかったようである。目立った変化といえば、彼女は頑固になっていた。過去のアヤマチを後悔せず、むしろアヤマチとして見ていなかった。自分の過去を客観的に省察してその結論を得たのではなく、人々への敵意によってアヤマチと見ることをテンから拒否しているのである。人の批判もうけつけない。人の言葉を感情的に反ぱつする完全
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