失踪したまま京都へ戻ってしまうのを黙って見過すということは、後味の悪い話である。せつ子に、記代子の帰郷をひきとめる意志のないのが分っているから、青木は彼女の気持も尊重してやる必要があると思った。
「わかりました。おッしゃることは、ごもっともです。ですが、くれぐれも御手ヤワラカにねがいますよ」
記代子の宿へ案内した。二人をどんなふうにひきあわしたものかと青木が思案していると、せつ子は委細かまわずズカズカと先頭に部屋へ通って、
「アラ。記代子さん。御無事でよかったわ。京都へお帰りですッてね。ほんとに、それが何よりよ。何をプレゼントしましょうね。銀座の商店は、ちょッと開店に間があるから、デパートから廻りましょうよ」
デパートをまわり、銀座を廻り、出来合いではあるが最新型の高級服を買って、着代えさせる。帽子、靴、ハンドバッグに、その中の品々まで一式。トランクも買いこんで、身の廻りの品々。フランスの香水に至るまで。右往左往、ひきずりまわされる青木は、アア、大変な買物だ、この支払いだけでも、わが社の会計係は月末に一苦労だなア、桑原々々、とついて行く。
最後に二人を大阪行特急の二等車へ送りこん
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