に、よろしくね」
青木は思わずホッとして、のぼせた頭に、血がクラクラと離合集散、彼は冷汗をふいて、冷茶をグッと一パイのみほした。
「ヤ。どうも、ありがとう。理解していただいて、幸福です。そういっていただくと、穴があれば、はいりたいですよ。なに、それほどでもないですか。ハッハ。あなたは処世の達人さ。女ながらもアッパレさね。ぼくもね。三方損の三人目とか、覆水盆にかえらずとか、近代イソップ物語の原理についてウンチクをかたむけたいところがあるですが、今日は急ぎますから、失礼します。御無礼の段、平に御容赦」
青木がこう言い残して別れようとすると、せつ子はよびとめた。
「お待ちなさい。車がありますから、東京駅まで送ってあげるわ」
「ヤヤ。それは、いけませんね。無茶なことをおッしゃるなア。後で八ツ当りにやられるのが、ぼくですよ。八ツ当りならよろしいが、三たび姿がかき消えまさアね」
「その心配はありません。第一、東京生活をきりあげて帰郷なさるのに、オミヤゲも買ってあげなければいけないでしょう。その機会がなければとにかく、機会があって、手ブラで帰せると思いますか」
一々もっともである。自分の家から
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