、何も持たずに家をでることにきめた。
 せつ子はさすがに大人であった。家出癖のついた小娘を怒らせっぱなしに放ッとくのは穏当ではない。折れたり、なだめたりするのは愉快なことではないが、対等にみたてて意地をはるのは大人げない話である。折れてみせて優しい言葉の一つもかけてやれば、その場では打ちとける色をみせなくとも、内々鋭鋒はくじけているものだ。
 そこで、せつ子は程を見はからって記代子の部屋をノックして、
「どうしてらッしゃるの? あら、カギがかかってるのね。はいっちゃいけないこと?」
「もう、ねています」
「そう。じゃ、私も戻ってねましょう。さきほどは、ごめんなさいね。でも、あれぐらいのことで血相変えて怒るなんて、オコリンボね。もう、仲直りしましょうね。おやすみなさい」
 せつ子はそれで安心して自分の部屋へひッこんだ。これだけ手を打っておけば、記代子は安心して、ねて忘れてしまうだろう。
 しかし、こんな動物の匂いのプンプンする因果物のような小娘を、今後どう処置したらいいのだろうかと考えると、ウンザリしてしまう。放二も悪い時にねこんでしまった。記代子から必要以上の動物臭をかぎたてるのも、こ
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