かった。
「どこをのたくって呑んで歩いたか、気がついたら屋台の土間にねていましたよ。白々と夜の明けるころにね。土間にねてごらんなさい。目をさますと、カゼをひいてますぜ。体温がなくなってるね。骨のシンまで冷えきってまさア」
目が濁っていた。当人もそれが分るらしく、汚い目を見せないためか、しきりにパチパチやっている。
十一
「昨夜は失礼いたしました」
と、放二が言った。どっちの挨拶だか、わからない。さてはインネンをつけなさるか、と、エンゼルは返事をせずに、内々せゝら笑って待ちかまえていると、
「自分で酒をのまないものですから、酒席の気分がわからないのです。アパートの女たちも、言い合したように酒をのまないものですから、変なところへ御案内して、至らなかったと思っています」
彼はこれから何を言うつもりなのか、エンゼルにはまったく見当がつかない。しかし、どうも、普通じゃない。エンゼルはソッポをむくのをやめて、放二の顔を観察することにした。
「ぼくは野中さんには、ぼくのすべてを知っていただきたかったのです。ありのままの生活を見ていただきたかったのです。なぜかと申しますと、ぼく
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