であった。ピシャリと閉じる。二人のアンチャンが戸に躍りかかって、桟を下し、鍵をかけてしまった。
四人どころじゃない。一目では算えきれないぐらい、ざッと十人ちかいアンチャンが勢ぞろいしている。四匹の猛犬を檻からだして、めいめい一匹ずつの綱をとって、スワといえば犬を放そうと身構えているアンチャンもいる。
アンチャンの重鎮らしいのが進みでゝ、大そうニコニコと歓迎の意を表して、握手をもとめ、口上をのべているうちに、誰かが、腰、ズボン、胸のポケットを点検したようである。
放二は応接間へ通された。窓から見ると、四匹の犬が綱から放されて、庭を行ったり来たりしている。アンチャン連も四人ばかり、要所々々に張りこんでいるが、樹木が一本もないから、折からの日でりで、大そう暑さにヘキエキしている様子であった。
放二はエンゼルとルミ子の昨夜の真相を知らなかった。しかし、もてなかったのだろうという想像はつく。
酔っ払いは前後忘却して、ところどころ明滅的な記憶しかなかったりするから、それを想像できなかったりして、益々誤解しているのかも知れないと放二は思った。
エンゼルはニコニコと現れたが、顔色がすぐれな
前へ
次へ
全397ページ中271ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング