ろで、誰の本心も汚いものだが、理性の働いている時には抑制されているのだから、酔わない時を人間の常態とみるのが当り前だ。
 エンゼルは放二の生活に甚しい見当ちがいの判断を下したけれども、そう疑っている気持が酔って現れただけのことで、放二の正体を疑っているというのも、放二の本当の心を知りたがる気持があるからに相違ない。
 たぶん記代子が放二の生活について疑っていることを、事実としてエンゼルにきかせたのだろう。それをエンゼルが真にうけるのは当り前で、疑う理由は十分である。
 しかし、こッちが誠意をもってつきあううちに、やがて分ってくれるときがくるだろう。そういうものだと思いこんで、やりぬく以外には適当な手段がないようだ。放二は、あきらめなかった。
 エンゼル家の表門は堅く閉されているので、呼鈴をおして案内を乞うと、アンチャンが戸の小窓をあけて、来意をきいた。
 相変らず、長時間待たせたあげく、四人ものアンチャンが小窓から代り番こに隙見して、放二の服装や、その背後に人はいないかと点検しているようである。
 ようやく戸が開いたので、一足はいると、放二の後足は危く閉じる戸にはさまれて、つぶされそう
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