いつのまに、こんな虹がかかったのだろうと考える。さッき橋を渡るときまでは、あそこに、なにもなかったのに。……
気を失ったのか、眠って夢を見ていたのか、わけの分らないような状態から、ルミ子はふと我にかえった。
誰かが扉をノックしている。
「だれ?」
「私。カズ子よ。ちょッと、いい?」
「ちょッと、待って」
ルミ子は立って、ネマキをきて、扉をあけた。
カズ子は中をのぞいて、
「もう、あの人、帰ったの?」
それをきくと、廊下の曲り角に隠れて様子をうかがっていたヤエ子も姿を現した。
「ちょッと、心配だから、来てみたのよ。おとなしく帰ったのね」
「うん。とっくに帰ったわ」
「チェッ。じゃア、あッちの部屋へくればいいのに」
ヤエ子は苦笑して、
「色男をみると逃がしゃしないんだから。オタノシミのことですよ」
「兄さんは、ねた?」
「いいえ、起きてる」
ルミ子はふと身にしむような懐しさを覚えてクラクラした。
十
その翌日、放二はエンゼルの自宅を訪ねて行った。
酒を飲みすぎれば、誰しも妙な風になるものだ。しかし、それが当人の本心というわけではない。たとえ本心にしたとこ
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