クチのモトデをまきあげる道具にすぎないと心得て、一文も置いて行きはしないものだ。一度でもスキを見せると、つけこんできて、情婦のつもりで食い物にし、着物や装身具や鏡台や茶のみ道具まで質に入れてバクチに使い果して、それが当然だと心得ている。狡猾、卑怯、折あらば、つけこむ虫であるから、これに対するパンパンの心構えとしては、柳に風、剣術の極意に似ている。
エンゼルは片手にコップをにぎりながら、ルミ子の首をかかえて抱きよせたが、ルミ子は、ゆっくりとスリぬけて、
「しつこいこと、しちゃダメよ。暑くって。ウチワであおいであげるから、ビールのんで、お帰り」
「約束のお客があるのか」
「お客は道にゴロゴロいるよ」
「ふざけるな。オレと遊ばないというのか」
「お金、ちょうだい。私、お客様と遊ぶのが商売よ」
エンゼルは単純に殺気立った。満座の中ででも、一人の女を暴力で意にしたがわせるぐらいのことには、場数をふんでいるという様子であった。
ルミ子は、しかし、落付きはらっていた。
「いい兄さんが、金で買えるパンパンを手ごめにしたら、物笑いよ。そうじゃなくッて。もっと気のきいた女を相手にするもんよ」
なん
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