うものは論外である。パンパンに払った金が惜しくなって、ビールをのんだり物をたべて女に支払わせていくらかでもモトをとろうとするのなどはよい方で、脅迫し、時には本当にクビをしめても金をとり返して行こうとする。それが愚連隊などでなくて、表通りに店をもった商人だの、工場主だの、若いサラリーマンだの、世間では虫も殺さぬ善人で通った連中がそうなのである。
あなたが好き、だとか、又遊びにきてね、というのは、この社会で当り前の挨拶だが、通り一ぺんの挨拶をかけられただけで、恋人のように思いこみ、二度目からは刃物で追いまわすような嫉妬深いウヌボレ屋もいる。そして、刃物をおさめる代償としては、一文も使わずに、遊んで飲んで食って帰ろうというのである。
世間では堅気の善人で通った人がこんなだから、遊びなれた悪党は弱い者にはオトコ気もあり立派な遊びをするかというと、とんでもない話なのだ。
小悪党というものは階級意識の強いものだ。パンパンのような社会的地位がゼロ以下の合法的でない存在に対しては、彼らはいたわりをもつどころか、全人格を無視してかかるのが共通の考え方である。パンパンとはタダで遊んで、おごらせて、バ
前へ
次へ
全397ページ中260ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング