つも何かにためされているのが人間だ。
 利巧だけがためされているわけではない。バカはバカなりにためされている。自分の位置や身の程を知らないから、バカは得だという理窟もない。記代子のような女を相手にさせられて放二が損してるわけでもなくて、ただ、ためしに応じて生きるのが人間の定めのように思われた。
 そして、尊大なせつ子や、バカな記代子のお相手をさせられるのは、放二が稀有な人だから、ためしが大きいのだろうとルミ子は思った。
 ルミ子は、ともかく、自分の義務を果したことで満足した。意外にも早く、一夜のうちに。それというのも、キッピイにぶんなぐられたせいである。それがキッカケでもあったし、又、ぶんなぐられたルミ子である故、彼女がキッピイに興味をもったり、こまかく質問することを人々は怪しまなかった。
 ルミ子はおそくアパートへ戻って、放二に報告した。
「エンゼルの住所は、女給さんたち、知らなかったわ。知らないのが当然だから、一々きいてもみなかったけど」
 放二は驚きもしなかった。キッピイの様子から相当ケンノンな事情が想像されたからである。エンゼルが記代子のかねてからの愛人でなかったことが多少意外
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