とを言いなさんな。実際的にさばくッたって、根は気分が心棒じゃないか」
「ほんとかい? とつぜん行動するとき、気分をふりすてるもんじゃないのか。まるで気分と似つかぬことをやるもんじゃないのか。気分屋は、特にそうだぜ」
「それは、まるで、愛情にひきずられるな、というみたいだね。あわれんでも、いとしがっても、ムダなのかな」
 青木はつぶやいた。そして、全身に敵意がこもった。
「わかったよ。長平さん。そして、ぼくは安心したよ。大庭長平という人は、自分勝手すぎるぜ。あなたは、自分の姪が、どうなっても構わない自分だけの人なんだ。たとえば、子をだいて、男にすてられようと、どうなろうとね。ねえ、長平さんや。ぼくはあなたにヒケメを感じていたんだ。記代子さんのようなウブで世間知らずの可愛い娘を、ぼくのようなオイボレ敗残者がいつまでも自分のものにしておくというイタマシサについてね。しかし、今はそうじゃない。あなたのような冷めたい人にくらべれば、ぼくの方がどれぐらいあの人の親身の友であるか知れないんだ。ぼくはもう、安心して、あの人を誰の手にもやらないよ。愛すことも、すてることも、ぼくの自由だ。いずれにせよあな
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