目に追いつめられて、うろたえたのだ。あの目を青木は忘れることができないのだ。何を語っている目だろうか。
 子を殺す、生む、それだけのことではないのだ。暗い一生をあゆむたった一つの小さい窓。あんな目にさせたのが自分だと思うと、たまらなかった。

       六

「なア、長さんや。恋愛だの、結婚だのッて、太平楽なもんだと思うよ。記代子さんて人は、その太平楽な身分に似合った人なんだね。ところが、ぼくとのことで、そうじゃない立場に落ちたわけだね。それを記代子さんは知ってるんだよ。本能的にね。恋愛だの結婚だのという太平楽なものと戦争状態の立場になってしまったという現実をさ。彼女は襟首をつかまえられているよ。運命というものにね。そして、ただ決意を要求されているんだ。それがあの人の目にでているのさ。ほかにでやしないや。だって、どこにもギリギリの決意なんて、ありゃしないものな。あるのは特攻隊みたいな切なさだけなんだ。それを見るぼくは、うろたえますよ。ねえ。だって、悲しくなるじゃないか」
「気分的なことは、どうだって、いいじゃないか。もっと実際的にさばく手段をさがしたらどうだろうね」
「大人ぶったこ
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