我が人生観
(六)日大ギャング
坂口安吾
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)易々《やすやす》と
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)僕は他人から見れば[#「他人から見れば」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)メデタシ/\
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この原稿を書こうという予定の日になって、久しく忘れていた胃ケイレンを起した。まだ夜の十一時半である。ダンスホールのバンドの音がきこえていた。
私の毎日は夕方の五時六時ごろから七時八時ごろまで、酒をのんで、すぐねむる。十一時半か十二時ぐらいに目がさめる。それから仕事にかかる習慣であった。
机に向うと胃が痛みだした。胃が冷えたせいらしいから、帯をグルグル胃にまいて、しばらく仰臥してみたが、痛みは激しくなる一方だ。たまりかねて売薬を買いに走らせた。
医師に診てもらってモヒでも注射してもらうとすぐ痛みがとまると思ったが、今は新聞小説を書いていて、一日一回ずつギリギリに送っているのである。モヒはよほど打たないと、私には利かない。利くと眠るけれども、目がさめると
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