間と性慾から脱出して孤独になることはできないであろう。しかし、それを知って人間に絶望してみたって、話にならない。そこから現世へ戻ってきて、理性的工作に訴える以外に手はないし、そうしなければ生きて行く身の身も蓋もない話である。
遊びせむとや生れけむ
戯れせむとや生れけむ
遊ぶ子供の声きけば
わが身をぞこそゆるがるれ
悲しい歌だ。我々はこの悲しさから脱出することができるだろうか。我々の理性的工作がどのようであろうとも、たぶんこの切なさを切りすてることはできないだろう。なぜなら、理性で処理のきかない世界だから。我々の骨にからみついた人間模様と性慾のあの世界だから。悲しい、しかし、いじらしい人間たちよ。
底本:「坂口安吾全集 09」筑摩書房
1998(平成10)年10月20日初版第1刷発行
底本の親本:「新潮 第四七巻第九号」
1950(昭和25)年9月1日発行
初出:「新潮 第四七巻第九号」
1950(昭和25)年9月1日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校
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