主で、その点昨年暮正式に別れた先妻の徳川喜和子などとは全然タイプが違う。私はそういう彼女に愛情を感じて接近したのである。しかし、二人の愛情は最初から結婚を前提としたものではなかった。その点華子夫人も同じ気持だったろう。だから私は華頂家の離婚についてはなにひとつ責任を感じないし、今後結婚する意思もない。
〔第二〕私はもし彼女の環境が許したら、彼女と結婚してもよいと思う。しかし、それには友人知己の意見も十分聞いてから決めたいと思う。ではなぜ、いままで結婚のことを否定していたかといえば、彼女の離婚直後にそういう意見を示すと、世間にいたずらに誤解を招く結果になることを心配したからである。華頂氏についてはこのさい何も語りたくない。
華子夫人の場合[#「華子夫人の場合」は太字]
華子夫人にも二つの変化があった。
〔第一〕戸田さんはいろいろ御好意を示してくれましたけれども、二人が深い関係にあるようにみるのは世間のデマでございます。
これ以上いま戸田さんのことにはふれたくございません。理由? いいえなんとしても申上げたくございません。
別れた主人についても、私としての言い分はございますが、こ
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