な毎日毎日の生活が直接このような役人とつながり、その支配下にあるのだから、やりきれないのである。どうも、日本人は、役人に向かないようだ。この役人が役人でない時は鬼畜の性を発揮する人間ではないのであろうが、ひとたび役人となると、威張りたがり、あげくに鬼畜性をふるって弱者をイジメたがる。軍人でも政治家でも、どうも特権をもたせるとガラリと変る性癖があって、当分のうちは誰が役人になっても役人に特権のある限りダメだと覚悟をきめる必要があるらしいから、なさけない話である。
 それにしても、戸のガラスまで外して持って行くようなことを全ての税務署員がやる筈はないと思うのは当然であろうが、これも疑わしいフシがある。殴ったとか殴らないとか、法にサシサワリのある点だけ一応詫びる必要があると思っているようだし、もっとも税務署は詫びたんじゃないと云ってるそうだが、どッちにしても戸のガラスを外したことなど問題にもしていないところを見ると、これが彼らの通常の心事であり処置であるように判断しなければならないようだ。
 詫びに行ったのではなくて、事実の調査に行ったという言い分は面白いな。どういう事実を調査に行ったのだろ
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