れたが、岩田さんや岸田さんなどがやっていた新劇の研究生だ。今、某誌の編輯者をしている橋本晴介君などの同門同輩なのである。小林秀雄の妹が同じように研究生であった。
この山口は小石川白山下に門戸をはる白眼学舎、小西某という占師の甥で、この占師の家に寄食していた。私は中学時代によくここへ遊びに行って、占師というものの生態に興味をもつようになった。白眼学舎は占師の中ではインテリで、早稲田の卒業生、沢正《さわしょう》と同級生であった。私はフランス語がよめるようになると、白眼学舎からフランスの占術の本をかりて、よんだ。占術の研究、特に骨相、手相などの研究が、西欧ではフランスが本場なのだそうだ。
しかし、要するに占術というものは、占う術の公式の中に秘奥があるわけではないようだ。易の卦《け》にしてもそうだ、ゼイ竹をくって卦をみる。その卦になんとか然るべき運勢の判断がでているわけだが、実際は易者の判断次第で、どうにでも理窟のつくシロモノなのである。
したがって、易者が催眠術者の状態になりきり、相手が被術者の状態になりきっていると、時に妙な的中率を示すようなことが起りうるかも知れない。ゼイ竹をくった
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