のように、ただもう四人の手がめまぐるしく往復しているのである。おまけに捨てたパイの上を水平に這うようにして各人の手が忙しく往復しているのだから、余分のパイを二ツ三ツ隠しておくのはワケがない。ちょッとの練習でいくらでもインチキがやれそうだ。だから素人が知らない人と賭け麻雀などはするものではない。
 私の一生は不逞無頼の一生で、不良少年、不良青年、不良中年、まことに、どうも、当人がヒイキ目に見てもロクでもない一生であった。それでも性来、徒党をくむことを甚しく厭《い》み嫌ったために、博徒ギャングの群にも共産党にも身を投ずることがなかった。
 云い換えれば、私の一生は孤独の一生であり、常に傍観者、又、弥次馬の一生であった。
 しかし、私が傍観してきた裏側の人生を通観して、敗戦後、道義タイハイせり、などとパンパン、男娼、アロハアンチャン不良少年の類いをさして慨嘆される向きは、世間知らずの寝言にすぎないということを強調しておきたい。いつの世にも、あったのである。秩序ある社会の裏側に常に存在してきたのだが、敗戦後は、表側へ露出してきただけなのである。
 しかし、日本の主要都市があらかた焼け野原となっ
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