イコットして載せなくなったので、やむをえず党外の雑誌へ発表すると、反動通信網とケッタクした、というレッテルをはられてしまった。
以上は中西伍長の一方的な打明け話であるから、そのまま信用するわけにはいかない。
けれども、党中央というものを党員が批判することができないことは、中西伍長の打明け話をきかなくともハッキリしている。かりに批判ができたにしても、そんな批判が何のタシにもならないことがハッキリしているのである。
なぜなら、本当に党中央を批判し審判しうるのはコミンフォルムだからだ。もしくは、その又奥の大元帥だけだからだ。
日本共産党がどんなに巧妙な言辞を弄して、自分はコミンフォルムに隷属しているワケではないなどと国民を説得しようと計画したところで、どうにもならない。
一喝にあうや、負け犬のように尻ッポを垂れて、降参したではないか。下部の批判に白い目をむく者のみのもつ上部に対する弱さ、無力をバクロしているだけだ。自己主張はどこにもない。そして言い方が面白い。自己批判した結果、コミンフォルムの批判が正しいことを知った、とくる。すでに自己批判の上、清算していた、とくる。
結局、日本
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