関係が有りうることになるだけなのである。
私はしかし御両氏の関係は、かなり前途多難だと考えている。
その第一は、天光光氏は理知性が低い。自分を客観的に眺めるという態度が本質的に欠けている。彼女は純情であり、恋愛に対してはヒタムキであるが、その政治行動が父のウケウリであったように、自分の判断というものが乏しいのである。これも父正一氏のウケウリであろうが、夫婦は政見を同じくしなければならない、ということを疑ぐるべからざる前提としているのである。
これに対して園田氏は、政見を異にしても夫婦関係は成立するということを見きわめている。この点は、はるかに大人の態度である。
しかし問題は、いつでもサリゲなく家出できる筈の三十女を朝の五時ごろ家出させ、墓地へ運んだり、これを新聞記者に追跡させたり、いろいろとカラクリしていることだ。以上の点を考えれば、氏に於ける愛情の熱度はこれによって量りがたいが、氏が結婚を政治的に利用していることは確実だ。これが前途多難を暗示するその二である。
両々これだけのユトリがあれば、まだ救われている。しかるに一方の天光光氏は、因果モノ的にヒタムキで、園田氏のユトリや
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