、まさにパチンコ屋に於ける彼女らを云うのであろう。姉も妹も、すでに、ただ単に無限の攻撃突貫を意志している鋼鉄のタンクそのものらしい。二人は顔を見合せることもないし、戦友らしく励げましの言葉をかけ合うようなチャチな人情の如きに目をくれる甘ったるい兵隊ではないのである。妹は攻撃が停止する寸刻がもどかしくてたまらぬらしくセカセカと空気銃を膝へ当てて折って、もしも袖ナシの服でなければ、やにわに腕まくりをしたであろうし、それすらももどかしくて袖をちぎって捨てずにいられないような充実しきった攻撃精神やセンメツの気魄によって、前へ、前へ、身体が押しだされ、延びて行く。彼女はまだ中学生であろう。頬はリンゴのように真ッ赤になっているし、眼は三白眼かヤブニラミに見える。それは捕虜をとらえればその場で処刑する戦意を示しているのである。彼女はふと気がついて帽子をぬいで台の上においた。彼女の帽子はアゴヒモのついた丸いツバのある夏の帽子で、鉄カブトよりも戦闘に不自由であったらしい。
 この土地にきてはアベックなどはダラシがなくてミジメそのものの存在さ。男と女が恋愛をする、その恋愛によって、互に相手に良く思われよう
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