は学者じゃないから、重たい本をひッくり返しているとすぐ目マイがして頭痛もする、まことに大そうツライのですが、本職の先生方がおやりになる気配がないから、仕方なくやってる次第です。子供の時から学問というのはニガ手なのですよ。
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つまり日本の官撰史は諸国へありがたそうな神様や恐しそうな悪者を分散させてその土地のユカリのものとし、また土地の豪族やその歴史をとりいれて自分の身内の神としました。しかし、先にも申したように神様を諸国へ分散させたと云っても、その神様は実はごく少数しか原形がなくて、諸国の各時代へ分散した多くのものが実はその少数の原形の変形であり、くりかえしにすぎない。そのなかで、ありがたそうな神様の分配には一切あずからなくて、両面スクナという奇怪な悪漢だけ分配されてるのがヒダの国です。
ところがヒダの伝説は書紀とアベコベのことを伝えており、偶然にも国史と伝説までがスクナを両面的に仕立てる結果になりましたが、実はスクナが両面でなければならぬ本当の理由はこれで、これによって本質的に両面でなければならぬのがスクナである。そう見ても差支えはないようです。
つまり
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