、むしろアベコベの意味の)ソウソウたる代表的なお嬢さん方を数名あつめてもらった。このへんは巷談師の心眼というものだ。見込みたがわず彼女は甚大の苦心を払って、至れり尽せりの人選をしてくれたのである。彼女がいかに苦心を払ったかということは、集まった娘さんたちの職業を見ると分るのである。
 花柳有洸 お名前で一目リョウゼン。関西新舞踊の明星である。
 村田※[#「王+旬」、第3水準1−87−93]子 デザイナー。昨年度全国コンクールで総理大臣賞受賞。まだ二十一、二だろうね。日本的な人材であろう。
 佐々木雅子 このお嬢さんはしとやかで、かつ飲ン平の代表という人選であったらしい。そういうこととは知らないから、女はお酒をのんではいけません、酔うと泣きだして見苦しいものだ、と私と檀君徳田君だけ飲んでいたので、後で分った時は手おくれ、人選の任を果さぬことになってしまった。若年にして男子以上の飲ン平というお嬢さんは、私も東京に二人知っている。文藝春秋に一人。新潮に一人酒量のほどは分らなかったが、しとやかの点では東京軍惨敗。
 森脇寿美子 これは文学愛好者の代表らしい。もっとも、そう文学に凝ってるわけじ
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