を見てごらん。それは切ないでしょう。闇の中にあるべきものを照すべからず。それはワイセツのためではなくて、滑稽であり気の毒であるからです。白昼の光の下では、ワイセツを救うものは芸術なのさ。ストリップとても原理は同じですよ。
計画停電は全国的なものであるから、ストリップ劇場のあるところ、全国すべて同じことが行われているに相違ない。しかしあの瞬間に半分お尻をだして必死に前と後を押えているのは大阪だけかも知れん。停電を見こしてこういう型、つまり危くズリ落ちそうなところで着物をおさえてくいとめる型を発明したとするなら、臨機の商才しかも必ずしもワイセツではなく、このへんは大阪商人の鬼才たるところであるかも知れん。
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こんどの大阪旅行は苦しかった。二月はじめに身体を悪くして仕事に支障をきたし、出発までに終るはずの小説新潮と別冊文藝春秋の二ツが残ってしまった。十二日の晩は徹夜だ。十三日の朝九時にとにかくオール読物だけを書き終り、小説新潮と別冊にはおことわりの電報をうって、上京、午後五時半から芥川賞の銓衡委員会。該当者なしときまって大そう早く会を終ったのはよろしいが、小説新
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