その中で描いている仏革命の段階だね。日本の民衆も悪かったんだ。農地解放をもっと利用すればよかったんだ。こいつは大革命だったんだがね、どうして日本人がその点に気づかなかったのかと思う。そしてそれを革命でなくしてしまったんだ。日本人の失敗だ。日本人は革命をやってもまだダメな国民なんだ。せいぜい暗殺ぐらいしか出来ない。農地解放という与えられた革命すらできないくらいの国民なんだ。それを、ボクは共産党の連中によく理解してもらいたいんだ。日本は今ようやくフランス革命の初め頃の段階なんだが、理性の点に於いてはまだフランス革命当時より低いんだ。
× × ×
探偵小説には政治が入ると面白くなくなるね。犯人が限定されるからね。大体、探偵小説は直接ぼくたち個人に身近なものに関係ある世界のもの、現世的なものなんだ。個人の色と慾、そんなものが中心になる。政治みたいに、さらにその上に一つのワクを置いたようなのでなく、だれでも、もし自分が殺されたらという身近な興味のものなんだ。だれでもオレが大臣になったら、と考えるより、オレが殺されたら、と云う方に切実な関心が
前へ
次へ
全15ページ中13ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング