て、そういうものゝ最高を見つめ、そのためには、いつ何時でも身をひるがえして飛び去る用意ができているから、という様子でもあった。
「今日は泊りにつれて行って」
 と、ヤス子はハッキリと申しでる。その目に色情の翳が宿っていないものだから、私はヤス子の無限の色情、浮気心に圧倒されてしまうのだった。
 私はヤス子が妖婦に見えた。これが本当の妖婦だと思うようになっていた。

          ★

 失踪の二人は金を費《つか》い果して帰って来た。
 美代子はわが家へ帰ることができず、先ず私の会社へヤス子を訪ねてきたが、ヤス子をみると力が尽きて、倒れてしまった。熱がある。然し、それよりも、腹部の苦痛のために、呻き、もがいた。
 生家の病院へかつぎこむ。淋毒であった。
 二人は温泉などへは行かず、種則の知人の病院の病室へ、入院の形で下宿させてもらっていたのだ。種則は時々外泊した。美代子の持ちだした品物を売って、ダンサーと遊んでいたのである。二人は争うことが多くなったが、家出の身では、美代子は種則に縋らざるを得ない。種則の外泊のうちに、美代子は種則の知人の医者に犯された。その関係を、種則は見ないフリ
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