本というものが、稀有なほど快速な復興途上にあることが分る筈のものである。焼け野原の敗戦国、この惨たる現実から発足している難作業に、最大の妨害をなしているものは、共産党の保守反動性である。彼らは現実を知ろうとせず、メクラ滅法、盲目的な公式主義によって、徒らに、クビキリ反対、ストライキをやらかすのみ。なぜ建設に協力しないのか。クビキリ反対という保守反動的方法の代りに、整理人員を就労せしむべき建設的方法について、何らの策も施す能力がないではないか。
現実の日本に於て、最も保守反動的なものは、共産党であり、保守党とよばれているものが、むしろ進歩的政党であることを知る必要があろうと思う。現実に即して進歩改良をもとめる精神は、常に進歩的なものである。遊休邸宅の開放などゝいう消極的な方法をカンバンにするようでは、とても大いなる進歩改良は見込みがない。耐震耐火、一切電化された文化的大アパートを日本全地に建てる、ぐらいの構想がなくて、どうなるものか。日本人を一様の貧乏人にひき落す代りに、高度の文化人に、文化的生活者に高めるための方策が大切なのである。
私はだいたい、政党に従属する政党人は、すでに自由
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